Arbos トラクタに搭載した KR600Z と TGR155 — 納入レポート
2024年11月、枝・灌木用の枝切りハサミ TGR155 を装着したブームモア KR600Z を、Arbos トラクタに搭載してお客様へ引き渡しました。取り付けは順調に進み、ベースマシン上での重量バランスと水平出しにも問題はありませんでした。以下では、この組み合わせが道路を維持管理する機関に何をもたらすのか、そして作業ヘッドをどのように選ぶのかを説明します。

納入内容
- 第2アーム伸縮式のブームモア KR600Z、
- 作業ヘッドとしての枝・灌木用の油圧式枝切りハサミ TGR155、
- 比例制御ジョイスティックによる操作、
- ジョイスティックパネルのボタン1つで行う機械とロータの始動、
- ベースマシン:十分に重量バランスの取れた、キャビンの広い Arbos トラクタ。
道路脇でリーチ6.4mが意味を持つ理由
道路区域の維持管理が抱える課題は単純です。オペレータは、トラクタを舗装面から降ろすことなく路肩と側溝の法面に届かなければなりません。KR600Z の諸元表に記載されたブームの最大リーチは6.4mで、車道を走行しながら路肩と側溝の法面をカバーできます。KR-Z POWER シリーズの KR600Z は第2アームが伸縮するため、草刈りの最中にリーチが変わります。オペレータはトラクタを停め直すのではなく、その場所に必要な分だけメートル数を足していきます。側溝の断面がより広い場合や、走行軸からの距離が大きい場合は、リーチ7.5mの KR700Z のほうが実用的です。ただし、トラクタがより高い要件、すなわち出力130HP、幅230cm、質量5000kgを満たすことが条件になります。
性能の安定を支えているのは独立した油圧系統です。220/240リットルの作動油タンク、68HPの出力と組み合わされる容量73cm³のポンプ、そして45˚Cで作動するオイルクーラーを備えます。アームの構造は油圧・ガス式のセーフティ機構で保護されており、障害物に接触した際にはアームが約30˚逃げます。草の中に視線誘導標やフェンスの残骸が隠れている道路沿いの作業では、これは実用上意味のある保護です。
TGR155 — 作業範囲とその限界
油圧式枝切りハサミ TGR-155 は枝と灌木を切断するヘッドで、路肩と側溝の灌木除去、および道路の建築限界の維持を目的としています。主要諸元は次のとおりです。
- 作業幅:1550mm、
- 最大切断径:120mm、
- ヘッド旋回:180˚〜235˚、
- 作業速度:0.2〜0.7km/h、
- 質量:240kg。
旋回範囲が、このヘッドの道路沿いでの使い勝手を決めます。切断面はアームの位置とは独立して設定できるため、同じ機械で建築限界に沿って垂直に、側溝の上で水平に、法面では角度をつけて切ることができ、ベースマシンを動かし直す必要がありません。作業ペースは現実的に見積もるべきです。密生して手入れの行き届いていない藪では、公表されている作業速度の下限を採るほうが安全です。このヘッドで作業するには、トラクタにクリープ走行(超低速ギア)が必要です。
作業に合わせたヘッドの選び方
KR-Z シリーズのアームは11機種の作業ヘッドに対応しているため、1台のベースマシンでシーズン中のいくつもの異なる作業をこなせます。選択は、その区間に何が生えていて、どのような状態かによって決まります。
草と若い萌芽枝
路肩と法面の草刈りには、作業幅120cmと130cmのフレールヘッド GH-120 または GH-130 を使います。その性格を決めるのはロータと、そこに取り付ける刃です。Y 刃および YI 刃は乾燥木材で5cmまでの灌木や小枝に対応し、T6 ハンマーは乾燥木材で6cmまでの萌芽枝に対応し、回転ハンマー H360 FORESTAL を装着したロータは直径10〜11cmまでの萌芽枝を粉砕します。仕様を組み替えれば、2台目の機械を買わずに作業範囲を変えられます。
木質化した藪と建築限界
枝の断面がハンマーナイフの能力を超える場合、適した道具は枝切りハサミです。TGR155 は120mmまでの材を切断します。それより太い大枝や幹には、また別の解決策が必要になります。
側溝
側溝の底の清掃には、作業ディスク80cmの側溝清掃ヘッド PR80 を装着します。ここで決め手になるのは油圧の諸元です。必要最小油量は200barで110l/minまたは300barで85l/min、ヘッドの質量は300kgです。
操作系とトラクタの選定
納入した機械は比例制御ジョイスティックで操作し、機械とロータの始動はジョイスティックパネルのボタン1つで行います。ラインアップには、ボーデンケーブル式の従来型レバー、油圧ジョイスティック、そしてヘッドの押し付け力をポテンショメータで調整できる比例制御ジョイスティック ELECTRIC も用意されており、地形の条件や対象となる材の種類に合わせて押し付け力を合わせられます。オプションとして、始動時の衝撃を抑えて駆動部品の寿命を延ばすヘッドのスロースタートシステムと、操作用ディスプレイ付きパネルを装着できます。
もう一つの論点はベースマシンの選定です。KR600Z の諸元表は最小値を示しています。必要出力110HP、トラクタ最小幅220cm、最小質量4500kgです。これより小さいトラクタでは、ブームを最大まで伸ばした状態で安定した作業はできません。だからこそ今回の納入では、Arbos トラクタの重量が十分であったことだけでなく、取り付け時に組み合わせの重量バランスと水平出しが問題なく行えたことにも意味がありました。見積依頼の際は、トラクタのモデル名と出力、質量、幅をお知らせください。それをもとに、アームとヘッドの選定を確認いたします。
